英明コラム 6月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 6月第2週


7日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って反発。雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比55万9000人増。市場予想の65万人に届かなかった。失業率は6.1%→ら5.8%に改善。FRBが近く緩和縮小に動く可能性があるという観測が後退。ハイテク株が上昇を主導した。NASDAQは3週連続での上昇。
 
日経平均株価は77円高の29019円と反発。トヨタは5日ぶりに反落。鉄鋼・銀行・機械などのセクターが軟調。75日線が上値を抑えた格好。日足は4日ぶりに陰線。TOPIXは4日続伸。東証1部の売買代金は2兆1910億円。オリンパ、コナミが上昇。ファーストリテ、コマツが下落。
 
8日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。「決算を通過し次の決算シーズンまでは経済データが材料。市場は小康状態だ」という声が聞こえる。方向感のない動きの中、ミーム株は堅調。前週58%上昇したAMCエンターテインメントは14.8%高。ゲームストップやブラックベリーなど他のミーム株も大幅高。FDAはバイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を承認。エーザイのADR(米国預託証券)は一時56%%高。バイオジェンは38%上昇。
 
日経平均株価は55円安の28963円と反落。終始方向感に欠けた展開だった。
東証一部の売買代金は2兆1864億円。エーザイ、郵船が上昇。住友鉱、ダイキンが下落。
日経1面では「今期増配、3社に1社」の見出し。増配企業の比率が前期を上回るのは4年ぶり。「先行き不透明感が後退し手元資金の確保から株主還元の拡大にシフト」との解釈。解釈と現実の差異はあろうが、少なくとも「不透明感後退」は隠れた事実だろう。
 
9日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。狭いレンジでの取引となり方向感に欠けた動きが継続。NYダウは5月に付けた過去最高値(34777ドル)に迫り高値警戒感から下落。NASDAQは3日続伸。アマゾンの上昇寄与度が大きかった。機関投資家の動きが鈍い一方、個人投資家による「ミーム株」物色は継続。小型株で構成するラッセル2000指数が大型株をアウトパフォームした。
 
日経平均株価は102円安の28860円と続落。一時160円ほど下落した場面もあったが売り込む動きはなかった。日中値幅は130円と低調。東証一部の売買代金2兆3029億円。エーザイ、住友不動 が上昇。ダイキン、信越が下落。
 
10日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は下落。「消費者物価指数(CPI)の発表を翌日に控え警戒感が拡大」との解釈。一方、個人投資家の間で人気の高い「ミーム株」は一部が急騰。個人投資家が過去2週間で「ミーム株」に投じた資金は12.7億ドル。ゲームストップ株中心に熱狂的な取引が拡大した今年1月のピーク時と同水準になった。またヘッジファンドによるミーム株に対する空売りはしばらく積み上がっていた。「投機のサインだ」という声が聞こえる。
 
日経平均株価は97円高の28958円と3日ぶりに反発。前日に米株式相場が下落した流れを受けて朝方は売りが先行。その後上昇に転じ上昇幅は一時140円を超えた場面もあった。米長期金利が1.5%を下回る水準に低下したことで、足元で調整色を強めていた半導体関連株など一部の値がさグロース株が指数を押し上げた。東証1部の売買代金は2兆4042億円。東エレク、レーザーテクが上昇。エーザイ、た。みずほFGが下落。
 
11日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。CPIを受け「インフレの高進が一過性にとどまる」との見方が拡大した。ファイザーが2.2%高。バイデン大統領が低所得国向けに新型コロナウイルスワクチン5億回分を購入するとコメント。ファイザーに約35億ドルを支払うという方向が好感された。
一方で「ミーム株」のゲームストップは27.2%安。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は37万6000件。前週の38万5000件から改善した。改善は6週連続。コロナ発生以降では最低水準。市場予想は37万件だった。
 
大引けの日経平均株価は9円安の28948円と3日続落。メジャーSQ通過で一服感という印象。SQ値29046円はザラバで上回ったので「幻のSQ値」ではないが終値では下回り1敗。週足は陰線。前週末比は小幅プラス。東証1部の売買代金は2兆9083億円。日本郵政、エムスリーが上昇。三菱UFJ、クボタが下落。
 
(2) 欧米動向
 
雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比55万9000人増。
市場予想の65万人に届かなかった。
非農業部門雇用者数はコロナ禍前の水準をなお760万人下回っている。
失業率は6.1%→ら5.8%に改善。
労働参加率は61.6%。
パンデミック前の水準(63.3%)を下回っている。
平均時給は前月比0.5%増の30.33ドル。
FRBが近く緩和縮小に動く可能性があるという観測が後退。
 
5月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.0%上昇。
2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びとなった。
市場予想は4.7%。
4月は4.2%上昇だった。
前月比では0.6%上昇で市場予想の0.4%を上回った。
ただ09年6月以来の大幅な伸びだった前月の0.8%からは鈍化。
「昨年春に見られた軟調な物価が影響。
こうしたいわゆるベース効果は6月以降薄れる見込み」という見方もある。
 
(3)新興国動向
 
台湾のTSMCが熊本に半導体工場を作る方向との報道。
安全保障上の理由もあろうが、グッドパートナーという印象。
各国が誘致に走り同社はアリゾナに1.3兆円規模の工場建設を既に決めている。
一方、日本ではソニーや自動車大手などの顧客が多い。
地震もあった熊本に来てくれるのは悪くない。
ワクチンを分けてあげたからではなかろう。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【6月】7勝3敗、(勝率70%、2位)
    気学では「乱調相場に始まる。上旬は戻り売り。夏至頃より買い良し」
 
12日(土)ゲーム関連「E3」オンライン開催(→15日)
14日(月)NATO首脳会議、インド消費者物価
15日(火)第三次産業活動指数、米FOMC(→16日)、小売売上高、生産者物価、鉱工業生産、NY連銀製造業景況感、NAHB住宅価格、対米証券投資、カリフォルニア州経済再開、天赦日
16日(水)貿易統計、機械受注、通常国会会期末、米パウエルFRB議長会見、住宅着工件数、輸出入物価、中国工業生産等経済指標、米ロ首脳会談(ジュネーブ)、株安の日L、変化日
17日(木)日銀金融政策決定会合(→18日)、首都圏マンション販売、米フィラデルフィア連銀製造業景況感
18日(金)消費者物価、黒田日銀総裁会見、FTSE指数にJ?REIT組み入れ実施、イラン大統領選挙
20日(日)緊急事態宣言・まん延防止等重点措置期限
 
5月は日銀不在となった。
2012年12月以来のETF買い入れゼロ。
4月以降に買い入れ方針が変化したから実質2か月経過した。
振り返ってみると20年3月の海外投資家は現物先物合計3.5兆円の売り越し。
同月の日銀のETF買いは1.5兆円。
20年4月の海外投資家は合計1.9兆円の売り越し。
日銀のETF買いは1.2兆円。
昨年の数字だけをあげれば・・・。
現物先物合計で海外投資家は約6兆円の売り越し。
個人は0.9兆円の売り越し。
金法は0.39兆円売り越し。
一方で信託は2.16兆円買い越し。
事法が1.26兆円買い越し。
日銀は6.8450兆円の買い。
今年この構図は崩れた。
市場から聞こえるのは「あったはずの買いの消滅」だ。
米国ではMMFの残高が500兆円超。
巨大な待機資金ではある。
 
興味深いのはQuick月次調査。
東京五輪開催後の9月末の日経平均予想は「28000円―30000円」が49%。
そして「3万円―32000円」が32%。
一方、延期した場合は「28000円―3万円」が48%。
「3万円―32000円」が24%。
五輪がどうなっても結局現状維持の方向との見方。
「結論未定」で「現状維持」そして「冒険せず」では江戸時代と変わらない。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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