英明コラム 9月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 9月 第2週

 

 
5日(月):
NY株式市場で主要3指数は揃って1%超の下落。米雇用統計で労働市場が緩み始めている可能性が示され序盤は上昇。「しかし欧州へのガス供給を巡る懸念から下落に転じた」との解釈が重しとなり、下げに転じた。主要3株価指数はいずれも週間で3週連続安。NYダウは2.99%、S&P500は3.29%、NASDAQは4.21%安。
 
日経平均株価は31円安の27619円と4日続落。一時プラスの場面もあったが米国の3連休控えで手掛けにくさが意識されての動意薄。TOPIXも4日続落。東証プライム市場の売買代金は1兆9985億円と2兆円割れ。レーザーテック、郵船が上昇。パナソニック、ファーストリテが下落。
 
6日(火):
週明けのNY株式市場はレーバーデ─で休場。レーバーデー明けの火曜日の米株には弱いジンクスがあるという。NYダウは2017年以降、5年連続で下落。S&P500指数も5年連続でマイナス。ただNASDAQ総合指数は2021年に上昇していた。
 
日経平均株価は6円高の27626円と5日ぶりに反発。米国指数先物の上昇に応援された格好。TOPIXは5日続落。東証プライムの売買代金は2兆1250億円と2日ぶりに2兆円台復活。重工、HOYAが上昇。東電、楽天が下落。
 
7日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。ISM非製造業景況感は56.9と前月から0.2ポイント上昇。市場予想は54.9。7月は56.7と4カ月ぶりに上昇に転じていた。「2カ月連続の上昇で供給のボトルネックとインフレ圧力の緩和が示された」との解釈。FRBがインフレ抑制に向けて利上げを継続するとの観測が高まったとの見方だ。NASDAQ総合は7日続落。連続下落期間としては2016年11月以来の長さ。
 
日経平均株価は196円安の27430円と反落。メジャーSQを控え売り物優勢の展開。ドル円の144円台も逆に重荷となった。東証プライムの売買代金は2兆7522億円。マツダ、三越伊勢丹が上昇。郵船、エムスリーが下落。
 
8日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って反発。主要3指数の上昇率は1%を超え8月10日以来の大きさ。
NASDAQの上昇率は2%を超え8日ぶりに反発。10年国債利回りは一時3カ月ぶりの水準に上昇したもののその後低下。アマゾン、テスラ、マイクロソフトなどが上昇。FRB当局者によるタカ派発言は相変らずが続いたが反応薄。金利上昇を気にしながらも相場のリズムには逆らえないといった格好だ。
 
日経平均株価は634円高の28064円と大幅に反発。8月31日以来およそ1週間ぶりに28000円台を回復した。上昇幅は8月12日(727円)以来の大きさ。
東証プライムの売買代金は2兆9818億円。SUBARU、ファストリが上昇。三井不、川重が下落。「熟した買いは落ちるし青い芽は伸びる」。これが自然の法則だが、株価の法則にも通じようか。水曜は「SQを控えて売り物優勢」。木曜は「SQを控えて先物中心に買い物優勢」。いい加減な解釈の横行。
 
9日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。銀行株やヘルスケア関連銘柄が上昇を主導した。短期金融市場が織り込むFOMCでの0.75%利上げ確率は87%。パウエルFRB議長はFRBの優先課題はインフレ対策であると改めて強調。週間新規失業保険申請件数は前週比6000件減の22万2000件。3カ月ぶりの低水準に改善。市場予想は24万件だった。 2年国債と10年国債の逆イールドは0.2%。8月10日には0.56%だった。
 
日経平均株価は149円高の28214円と続伸。上昇幅は一時200円を超えた場面があった。SQ値28253円は、一時上回り幻は脱却。東証プライムの売買代金は3兆1436億円。エムスリー、ファーストリテが上昇。ダイキン、ソニーが下落。
 
(2) 欧米動向
 
8月の雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比31万5000人増加。
7月分は52万8000人増から52万6000人増に若干下方修正。
20カ月連続で雇用が増加。
雇用はパンデミック(世界的大流行)前の水準を24万人上回っている。
市場予想は30万人増だった。
失業率は3.7%で前月の3.5%から上昇し半年ぶりの高水準。
労働参加率は62.4%と7月の62.1%から上昇。
ただ、パンデミック前の水準をなお1%ポイント下回っている。
時間当たり平均賃金は0.3%上昇。
7月(0.5%上昇)から伸びが鈍化した。
前年同月比も5.2%上昇。国債利回りは低下。
「労働市場が冷え込み始めFRBがそれほど積極的に動く必要がなくなる」との解釈だ。
 
(3)新興国動向
 
中国人民銀行(中央銀行)が9日発表した8月の人民元建て新規融資は1兆2500億元(1806億3000万ドル)。
7月から増加したものの市場予想の1兆4800億元には届かなかった。
前年同月は1兆2200億元だった。
6日時点、49都市で何らかのロックダウン(都市封鎖)が行われている。
中国の人口の約21%、国内総生産(GDP)の約25%に相当するという。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【9月】8勝2敗、(勝率80%、2位)
    気学では「初め高きは中旬にかけて下押し。月末小波乱か」。
 
9月12日(月)変化日
9月13日(火)法人企業景気予測調査、国内企業物価指数、米消費者物価、財政収支、国連総会 株高の日
9月14日(水)機械受注、米生産者物価、
9月15日(木)貿易統計、第三次産業活動指数、米小売売上高、鉱工業生産、NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感、輸出入物価、上海協力機構サミット(ウズベキスタン)、上げの特異日
9月16日(金)米ミシガン大学消費者信頼感、中国各種経済指標、FTSE日本株パッシブ売買インパクト
9月19日(月)敬老の日で休場、米NAHB住宅市場指数
9月20日(火)消費者物価、首都圏マンション販売、米FOMC(→21日)、住宅着工件数、建設許可件数、国連総会一般討論開始 株安の日
9月21日(水)日銀金融政策決定会合(→22日)、訪日外客数、米パウエルFRB議長会見、中古住宅販売
9月22日(木)黒田日銀総裁会見、米4−6月期経常収支、 株安の日、変化日
9月23日(金)秋分の日で休場、デリバティブの祝日取引解す、動かない日
9月25日(日)イタリア総選挙
9月26日(月)アジア開発銀行年次総会(→30日)、独IFO景況感 株安の日L
9月27日(火)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、CB消費者信頼感、FHFA住宅価格、新築住宅販売、 株高の日L
9月28日(水)日銀金融政策決定会合議事要旨、米中古住宅販売仮契約、変化日
9月29日(木)日中国交正常化50周年、米GDP改定値、 株高の日L
9月30日(金)失業率、鉱工業生産、消費動向調査、米個人所得・支出、中国PMI、株安の日L、日経平均パッシブ売買インパクト
 
今年の9月中間配当落ち額について。
日経平均では224円、TOPIXでは19.6ポイント。
前年同期でいずれも増配傾向となる見込み。
因みに22年3月は日経平均で約240円、昨年9月は約180円だった。
パッシブ連動資産のすべてが配当落ちに伴い先物と現物株の買いに動くと仮定。
日経平均で合計1500億円強。
TOPIXで合計8000億円強の買い需要が予想。
これも前年同期比で拡大する見込み。
今回の配当落ちでは日経平均構成銘柄の約68%、TOPIX構成銘柄の約50%が対象。
因みに指数連動型パッシブファンドの純資産残高は9年2日時点で、日経平均型は19兆8766億円。
TOPIX型は81兆8468億円と試算。
 
蝉とコオロギ。蝉の鳴き声が消えると蟋蟀は合唱を始める。
空には半月。秋の主役交代は毎年訪れるもの。「流行物は、廃り物」。
そして時間軸をきちんと守って主役交代が行われる。相場も似たようなものかもしれない。
 
日経平均株価の構成銘柄定期入れ替え。
新規採用は日本電産(6594)、SMC(6273)、HOYA(7741)、しずおかフィナンシャルグループ(5831)。
除外銘柄は静岡銀行(8355)、ユニチカ(3103)、沖電気工業(OKI、6703)、マルハニチロ(1333)。
リバランスは日本電産の採用、静岡銀行の除外が9月28日引け。
SMCとHOYAの採用、ユニチカとOKIの除外が10月2日引け。
しずおかの採用、マルハニチロの除外が10月3日引けでそれぞれ発生する。
株価換算係数は日本電産が0.8、SMCが0.1、HOYAが0.5、しずおかが1となった。
リバランスに伴い日経平均全体に約5200億円の換金売りが生じるとの推計。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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