《マーケットストラテジーメモ》8月 第1週
28日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って上昇。S&P500とナスダック総合は連日の過去最高値更新。S&P500は今年に入って14回目の最高値更新。背景は米国がEUと近く貿易協定で合意する公算が大きいとの楽観的な見方。デッカーズ・アウトドアが11%高。インテルは8.5%安。
日経平均株価は457円安の4万998円と続落。小高く始まったがほどなく下落に転じ、その後は大引けまでじり安の展開が続いた。アドテストは下落率が一時10%を超えるなど大幅安。TOPIXは続落。東証プライムの売買代金は4兆501億円。ファナック、トヨタが上昇。KDDI、良品計画が下落。空売り比率は40.2%と11日ぶりに40%超。
29日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。S&P500とナスダック総合は連日の過去最高値更新。S&P500の最高値更新は6日連続。S&P500は一時6400ポイント台に乗せた。米国とEUが関税率15%で合意したことを市場は追認した格好。ナイキが3.89%上昇。
日経平均株価は323円安の4万674円と3日続落。利益確定売りが引き続き優勢。前日の取引終了後に四半期決算を発表した日東電や、外資系証券が投資判断を引き下げたレーザーテクの下げが目立った。トヨタやマツダなど自動車株も下落。午後に発表した4-6月期決算が減収・減益だったコマツは大幅安。TOPIXは3日続落。東証プライムの売買代金は4兆90億円。良品計画、フジクラが上昇。アドテスト、ファナックが下落。
30日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って下落。ユナイテッドヘルス、ボーイング、メルクが決算発表を受けて売られた。ユナイテッドヘルスは利益見通しが市場予想を下回ったことを嫌気して7.5%下落。ボーイングは第2四半期の赤字が予想より小幅にとどまったものの、株価は4.4%下落。メルクも1.7%安。通期の売上高および利益率見通しの公表を再び見送ったUPSが10.6%急落。ダウ輸送株指数は2.3%安と5月21日以来の下落率。
日経平均株価は19円安の4万654円と4日続落。持ち高整理の売りが優勢の展開。アドテストなどが決算発表を受けて下落したのも重荷だった。TOPIXは4日ぶりに反発。東証プライムの売買代金は4兆9430億円。TOPIX構成銘柄の浮動株比率の変更に伴う売買で商いが膨らんだ。住友ファーマ、重工が上昇。リクルート、ファナックが下落。大商い株専有率(先導株比率)は28.6%と物色対象は分散。
31日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。不安定な動きの中、NYダウとS&P500は続落。「利下げ期待遠のき株価軟調」との見方。FOMCは金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置くと決定。据え置きは5会合連続。9対2の賛成多数で決定。年内の利下げ幅見通しは合計0.39%。声明発表前の0.44%から低下。パウエルFRB議長は「9月のFOMCで利下げを実施するかどうか判断するのは時期尚早」とコメント。9月利下げの確率はFOMC声明発表後に約68%に上昇した。ただパウエル議長の発言を受けて50%を下回った。マイクロソフトとメタは時間外取引で6%超上昇。スターバックスは0.2%安。
日経平均株価は415円高の4万1069円と5日ぶりに反発。前日の米ハイテク株高を受けて、半導体関連株に買いが入った。日銀金融政策決定会合で市場の想定通り政策金利の据え置きとなると、日経平均は後場に上げ幅を広げた。 TOPIXは続伸。東証プライムの売買代金は5兆3877億円。京セラ、フジクラが上昇。トヨタ、パナソニックが下落。
日経平均は7月月間では582円高。月足は4カ月連続で陽線。月間値幅は2366円。
1日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は揃って下落。ただS&P500は1%、ナスダック総合は1.5%、それぞれ上昇する場面もあった。メタが11.3%上昇し、上場来高値を更新。ただ他のAI関連銘柄は軟調でブロードコムやエヌビディアなど半導体株が下落。フィラデルフィア半導体指数(SOX)は3.1%下落。4月16日以来の大幅安となった。引け後に決算を発表したアマゾンは時間外取引で2.6%上昇。S&P500は月間で2.17%、ナスダックは3.7%、NYダウは0.08%上昇。3指数とも3カ月連続のプラスとなった。
日経平均株価は270円安の4万799円と反落。下げ幅は一時480円を超えた。半導体製造装置の東エレクによる今期業績予想の下方修正を嫌気した売りが、値がさの半導体関連株に波及。相場全体を下押しした。TOPIXは3日続伸。東証プライムの売買代金は5兆6149億円。コナミ、JTが上昇。アドテスト、レーザーテクが下落。
(2)欧米動向
トランプ米大統領は低調な内容となった7月の米雇用統計について、「共和党と私の評判を落とすために不正に操作された」と投稿。
何ら証拠は示さなかった。
また労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長の解任を命じた。
市場は「王様ノー」と言っているように映るが、以前王様の格好のように見える。
(3)新興国動向
国際通貨基金(IMF)は新興市場国・発展途上国全体の今年の国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の3.7%から4.1%に上方修正した。
中国経済に対する見方が改善し、新興国全体の予想成長率を押し上げた。
新興国・途上国全体の2026年の成長率見通しは従来の3.9%から4.0%に引き上げた。
今年の成長率見通しの上方修正幅は中国が最も大きく、従来の4.0%から4.8%に修正された。
(兜町カタリスト 櫻井英明)