英明コラム 9月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 9月第3週
 
【推移】
 
14日(月):
週末のNY株式市場でNYダウとS&P500は反発。NASDAQは反落とマチマチの動き。好決算のオラクルは一時61.86ドルと過去最高値を更新。ただ終値は下落。アップルは1.31%安。グロース株は0.26%安。一方、バリュー株は0.54%上昇。週間ではNYダウが1.66%、NASADAQが4.06%、S&Pが2.52%下落。
8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇。市場予想の0.3%上昇を上回った。
 
日経平均株価は152円高の23559銭と3日続伸。日足は5日連続陽線。SBGが英半導体設計大手アーム・ホールディングスの売却を発表したことを受け大幅上昇し指数を113円押し上げた。パルプ・紙や電気・ガスなど景気に敏感な業種も買われた。
東証1部の売買代金は2兆1982億円。日野自、キヤノンが上昇。商船三井、NTTドコモが下落。日経平均株価を前日のNYダウで除して日米株を相対比較する「ND倍率」は11日時点で0.85。8月28日の0.80から上昇。
日経平均は出遅れ銘柄が買われ6日ぶりにコロナ急落前の水準を回復。
 
15日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅に上昇。英製薬大手アストラゼネカが中断していた英国での新型コロナワクチンの治験を再開。ファイザーとビオンテックはFDAに新型コロナワクチン候補の後期治験の被験者数を約4.4万人に増やすことを申請。これらを好感した恰好での大幅高。「市場はワクチン関連の情報を好む。なぜならワクチンが究極の解決策だからだ」という見方だ。
 
日経平均株価は104円安の23454円と4日ぶりの反落。下落幅は一時200円を超えた場面もあったが大引けにかけて下げ渋りの展開。
東証一部の売買代金は2兆1351億円。6日連続の2兆円超え。SBG、エムスリーが上昇。鉄、ソニーが下落。空売り比率は39.5%(8日ぶりに40%割れ:前日40.2%)。空売り規制なしの比率は5.2%(11日が10.8%、9日が13.5%)。5%台は8月25日以来。
 
16日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は続伸。背景は「FOMCで緩和的なスタンスを維持するとの観測」。アップルは「アップルウオッチ」やタブレット端末「iPad」などの新製品を発表。株価は一時約3%上昇したがその後一時失速した場面もあった。アップル株はイベント前に買われ、その後売られることがよくあるが全体にも波及した格好。連邦規制当局が罰則を計画していると伝わったシティグループが6.9%安。8月の鉱工業生産統計で製造業生産指数は1.0%上昇。8月の輸入物価指数は前月比0.9%上昇。
 
日経平均株価は20円高の23475円と小幅反発。後場は終始プラス展開。SBGのプラス寄与度が60円だったのが効いた。東証一部の売買代金は2兆1398億円。東エレ、ソニーが上昇。ホンダ、川船が下落。日足は7日連続の陽線。6月2日までの7日連続陽線以来。
 
17日 (木):
水曜のNY株式市場でNYダウは小幅続伸。S&P500とNASDAQが反落。FOMCは「FF金利の誘導目標を0─0.25%に据え置く。インフレ率が当面2%目標を緩やかに超える軌道にあると判断するまで、低金利を維持する」という方針を表明して通過。FRB当局者のドットチャートによると、1人を除く全員が22年までの金利据え置きを想定。4人が23年の利上げを予想した。今年の経済成長率見通しはマイナス3.7%。6月予想時のマイナス6.5%から落ち込み幅を大幅に縮小。20年末の失業率は7.6%と予想。6月時点の予想は9.3%だった。
 
日経平均株価は156円安の23319円と反落。NYダウ先物が軟調に推移したことを嫌気、ドル円の一時104円台も警戒感を高めた。下落幅は一時200円を超えた場面もあった。時価総額の600兆円台も重荷。日足は8日ぶりに陰線。5日線は6日ぶりに下回った。
TOPIXも反落。
東証1部の売買代金は2兆35億円。8日連続での2兆円超。指数は軟調だったが新高値は136銘柄。新安値は1銘柄。中外薬、KDDIが上昇。ファーストリテ、SBGが下落。
 
18日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は下落。アマゾンやアップルなどの下げが相場を圧迫。「8月最終週が好調だったことから、利益確定売りが出るのは理にかなっている」という意味不明な解釈。アマゾンは2.3%、アップルは1.6%安。一方でGEが逆行高で4.4%高。フォードが3.7%高。週間新規失業保険申請件数は86万件。前週の89万3000件から3万3000人減少した。
 
日経平均株価は40円高の23360円と小幅反発。為替の落ち着きや菅新政権への高い支持率が安心材料。下値リスクは薄かったが積極的に上値を追いかける機運も盛り上がらなかった。日足は2日ぶりに陽線。
週足は3週間ぶりに陰線。東証1部の売買代金は2兆7151億円。新高値164銘柄、新安値2銘柄。ソニー、NTTデータが上昇。中外薬、ドコモが下落。
日経平均採用銘柄の予想PERは23.22倍(前日22.29倍)。EPSは1004円(前日1053円)。一気に50円低下した。終値ベースでメジャーSQ値23272円を上回り5勝。
 
 
(2) 欧米動向
 
電子端末にあった比較。
先週末時点でS&P500「IT」の予想PERは26倍。
ITバブルの2000年3月には53倍だった。
あるいは株式益回りと債券利回りとの比較。
現在は10年債利回り0.7%、株式益回り3.8%。
2000年は10年債利回り6.0%、株式益回り1.9%。
半導体売上高は今回2カ月で0.3%減少。
2000年は年間43%減だった。
日本株についてはJPモルガン証券のレポ─トの声を覚えておきたい。
「市場が先々の正常化を見込む仮定ではバリエーションが機能しない『空中戦』はしばしば起こる。
今年の3月→5月上旬の相場がそうだった。
主要中央銀行が大規模緩和を実施している局面ではなおさら」。
成功体験を持った人たちの市場分析は明るい。
 
(3)アジア・新興国動向
 
8月の中国鉱工業生産が8カ月ぶりの高い伸びを記録し、小売売上高が今年初めてのプラスとなったことを受け、人民元は上昇基調。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
【9月】陽線確率6勝4敗(陽線確率60%)、過去15年10勝5敗(1位)
    気学では「上旬・中旬は強調。秋分以降は売り一貫のとき」
 
18日(金):消費者物価、米経常収支、CB景気先行指数、ミシガン大学消費者信頼感、株高の特異日、鬼宿日・天恩日、FTSE日本指数パッシブ売買インパクト
21日(月):敬老の日で休場、米シカゴ連銀全米活動指数、
22日(火):秋分の日で休場、米中古住宅販売、国連総会、米中ロ首脳が一般討論演説
23日(水):全産業活動指数、コンビニ売上高、東京ゲームショウ(オンライン)、米FHFA住宅指数、動かない日
24日(木):百貨店売上高、米新築住宅販売件数、IOC調整委員会、独IFO景況感、株安の日
25日(金):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、国連総会で菅首相一般討論演説、変化日
28日(月);9月末権利付き最終日
29日(火):CB消費者信頼感、CS住宅価格指数、米大統領選候補者第1回テレビ討論(オハイオ)、株高の日
30日(水):鉱工業生産、米ADP雇用レポート、、GDP確定値、中国製造業PMI、株安の日
       JPX400/JPX中小型定期入れ替え選定基準日
       日経平均パッシブ売買インパクト
       ウィンダムツリー日本株年次リバランス基準日
 
OECD(経済協力開発機構)の最新の経済見通し。
2020年の世界全体の実質経済成長率が前年比マイナス4.5%と予測。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために導入された移動制限などの解除が進展。
6月時点に示した流行第2波が回避された場合の予想から1.5ポイント引き上げた。
米経済予測をマイナス3.8%成長(6月時点はマイナス7.3%成長)に。
ユーロ圏はマイナス7.9%成長(同マイナス9.1%成長)に上方修正。
日本は20年をマイナス5.8%成長(同マイナス6%成長)に引き上げた。
一方21年はプラス1.5%成長(同プラス2.1%成長)に下方修正。
 
経済協力開発機構(OECD)の経済成長率予測
世界2020年▲4.5% 21年5.0%
中国2020年1.8%、21年8.0%
米国2020年▲3.8%21年4.0%。
日本2020年▲5.8%21年1.5%
欧州2020年▲7.9%21年5.1% 


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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