英明コラム 3月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》3月2週
 
【推移】
 
2日(月):
週末のNY株式市場は7日続落ながら引け際に下落幅を縮小。NYダウは下落幅一時1000ドルを超えたがラスト1時間で4.2%安から1.4%安と戻した。同じ続落ながら前日とは逆の動きだ。株価の支援材料となったのはパウエルFRB議長の声明。「米経済は引き続き底堅いものの、新型コロナウイルスの感染拡大が経済へのリスク。景気の下支えに向けFRBとして適切に対応する」。 ただ「市場は危機が去った兆しとして米国内で大幅な感染が見られないという証拠を求めている」との声もある。
 
日経平均株価は201円高の21344円と6日ぶりの反発。日銀は「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針だとの裁緊急談話を発表。米FRBの利下げ観測も浮上し協調金融緩和への期待から買い物優勢の展開。日経平均の値幅(高値と安値の差)は758円と2018年2月6日以来約2年1カ月ぶりの大きさ。
東証1部の売買代金は3兆5219。東エレク、アドテストが上昇。中外薬、東京海上が下落。日銀はETFを1002億円買い入れ。買い入れは5日連続で週末の703億円から大幅に増加。1回の買入額としては過去最大。前場のTOPIXが1.11%高だったが株価が上昇するなかでETF買い入れは「極めて異例」だ。
 
3日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅反発。NYダウは1296ドル高(5.2%)高の26703ドルと8日ぶりに反発。上昇幅は2018年12月26日(1086ドル)を上回り過去最大だった。上昇率は09年以来の大きさ。「主要中銀が協調して金融緩和に踏み切り、新型コロナウイルスによる景気減速を和らげるとの期待感が背景。
大型のハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが優勢」との解釈。最後の1時間で約800ドルの上昇となり終値はほぼ高値圏。
 
日経平均株価は261円安の21082円と安値引け。G7での具体的正確な対応の可能性が少ないことを嫌気したとの解釈。東証一部の売買代金は3兆719億円。武田、オリンパスが上昇。ファナック、ダイキンが下落。
 
4日(水):
過去最高の上昇幅を記録した翌日のNY株式市場は値動きの荒い展開。主要株価3指数は一時1%超上昇する場面もあったがFRBの利下げ後に3%近く下落して引けた。
NYダウの終値は前日比785ドル安の25917ドル。高値27084ドル、安値25706ドルと日中値幅は1378ドルだった。FRBが0.5%緊急利下げを実施。「新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響の大きさが一層意識された」との解釈。緊急利下げは世界的な金融危機に見舞われた2008年以来。なんでも欲しがる市場に迎合しても市場は優しく応えてくれる訳ではないというのが明確だ。
 
日経平均株価は17円高の21100円と反発。米スーパーチューズデーの動向を横目で見ながら右往左往という印象。東証一部の売買代金は2兆524億円と7日ぶりの3兆円割れ(23日連続の2兆円超)。ファーストリテイリング、KDDIが上昇。イオン、セブンアイが下落。PBR1倍割れ回避、TOPIXは1500ポイント攻防戦という印象。
ボリンジャーのマイナス3σ(収まる確率99.7%)が20259円。マイナス2σ(収まる確率95。4%)が21159円。マイナス3σ超の乱世を終えてマイナス2σ以内は平時のレベル。
 
5日 (木):
NY株式市場で主要3指数は大幅反発。NYダウは1173ドル高と4%超の上昇。上昇幅は過去2番目の大きさだった。S&P500も4%超上昇。反発の背景の一つは「スーパーチューズデー」でバイデン候補が躍進したこと。「サンダース候補の急進的な政策スタンスを警戒していた市場参加者の間に安心感が拡大」という解釈だ。
もう一つの指摘は議会で78億ドル(約8400億円)規模のウイルス対策緊急予算措置がまとまったことだろう。
 
日経平均株価は229円安の21329円と続伸。後場は上海総合指数が上昇幅を拡大。時間外取引での米株価指数先物は下落幅を縮小したこともあり日経平均も上昇幅を取り戻す格好となった。ただ「新型肺炎の影響を受けた1?3月期の企業業績への警戒感から、積極的には手掛けづらい状況」という声も聞こえる。東証1部の売買代金は2兆5255億円。武田、島津が上昇。三井住友FG、デンソーが下落。
 
6日(金):
NY株式市場で主要3指数は3%超の大幅反落となり前日の上昇幅をほぼ消した。アマゾンやフェイスブックなどがシアトル地域の従業員に対し在宅勤務をするよう勧告。新型コロナウイルスの感染拡大や経済への影響を巡る不透明感が拡大した。
 
NYダウは過去最大の下げ幅を記録した先週木曜日から▼1190、▼357、△1293、▼785、△1173、▼969。6日連続で日中の値動きは1000ドル幅で日替わりの乱高下だ。「経済のファンダメンタルズについて判断できないため市場は明らかに感情で動いている」という格好だ。恐怖と欲望指数は13→9に低下。今年の最低水準だ。因みに1929年のウォール街暴落の時も市場は乱高下を繰り返したあとの展開だったというのが嫌な歴史だ。
 
日経平均株価は579円安の2万0749円と大幅反落で昨年9月4日以来の水準。下値めどとみられたPBR(株価純資産倍率)1倍水準(2万0800円前後)を下回り週足陽線基準月曜終値21344円、月曜の寄り付き値は20849円も下回った。TOPIIXは1500ポイント割れ。セブンアイが上昇。鉄、三菱UFJが下落。
 
(2) 欧米動向
 
OECDの世界経済見通しは下方修正。
今年の世界経済の成長率は2.4%。
2009年以降で最低となる見通し。
昨年11月時点の予想は2.9%だった。
背景は新型コロナウイルスの感染拡大。
世界経済が世界的な金融危機以降で最悪の低迷期に入りつつあるとの見方だ。
 
(3)アジア・新興国動向
 
中国国家統計局が発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は35.7。
前月の50から大幅に低下し、過去最低を記録した。
今回のPMIは、新型コロナウイルスの影響を全面的に反映する初めての経済指標。
好不況を判断する節目の50を大幅に割り込んだ。
市場予想は46.0だった。
非製造業PMIも1月の54.1から29.6に大きく落ち込んだ。
 
【展望】
 

スケジュールを見てみると・・・。
 
【3月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年8勝7敗(8位)
    気学では「押し目買い。安値を買い拾うこと。飲食関係に妙味」
 
 8日(日):米サマータイム開始(→11月1日)
 9日(月):景気ウォッチャー調査、GDP改定値、株安の日
10日(火):マネーストック、工作機械受注、米大統領予備選(ミシガン州など)、中国生産者・消費者物価、変化日、株安の日
11日(水):G20シェルパ(首脳代理)会議、株高の日
12日(木):企業物価指数、景気予測調査、都心オフィス空室率、米生産者物価指数、ECB理事会
13日(金):メジャーSQ、米輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、スタートアップの祭典「サウス・バイ・サウス・ウェスト」開幕(オースティン)、株安の日
14日(土):山手線新駅「高輪ゲートウェイ」開業
15日(日):フランス統一地方選
 
IMFのゲオルギエワ専務理事コメント。
「2020年の世界経済成長率が昨年の2.9%を上回ることはない。
最新の見通しは数週間以内に発表する。
新型ウイルスへの協調対応が重要。
IMFとして貧困国を対象に低金利融資を含む500億ドルの緊急融資枠を設けると。
中国では感染拡大が鈍化しているが20年の成長率はIMFの最新の予測である5.6%を下回るだろう。
ただ中国の生産再開は現時点で約60%。
今後数週間で90%に達すると見込む」。
 
 
新型ウイルス肺炎の震源の中国・武漢での投資口座開設が増えているとの報道。
封鎖された武漢での籠城生活の潤いがゲームと同様に投資であるという。
ある証券会社の武漢支社の口座開設は武漢封鎖後に大きく伸びたという。
そして「投資熱」という言葉も登場してきた。
NYや中国とのこの「投資熱」の違いはそれこそ埋め込まれた記憶の歴史。
概ね30年で一世代が後退すると、東京に残された記憶はバブル崩壊後の展開。
「株は儲かる」として育った人と「株は損する」として育った人の行動論理の違い。
これは大きい。
 
過去の緊急利下げ(90年以降)
 
98年10月15日(LTCM破綻)
01年1月3日(ITバブル崩壊)
01年4月18日(〃)
01年9月17日(911同時多発テロ)
07年8月17日(※FFは据置)
08年1月23日(サブプライム問題)
08年3月16日(※FFは据置)
08年10月8日(リーマンショック)
20年3月3日(コロナショック)


(兜町カタリスト 櫻井英明)

 
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