英明コラム 3月第4週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》3月4週
 
【推移】
 
16日(月):
週末のNY米国株式市場は急反発。前日にブラックマンデー以降で最大の下落となったNYダウは1985ドルの急反発となった。主要3指数はいずれも2008年10月以来の大幅高。トランプ大統領が新型コロナウイルスへの対応で国家非常事態を宣言。「新型コロナ対応に向け最大500億ドルの拠出に道を開く」と発言したことを好感。
 
FRBの金融調節を担当するニューヨーク連銀は総額370億ドルの国債買い入れを実施すると発表。「新型コロナによる非常に特異な市場の混乱」に対応するものと説明した。
FRBは1%の追加利下げを発表。過去2週間足らずで2回目の緊急利下げ。FF金利の誘導目標は0─0.25%と実質的ゼロ金利導入。同時に「日米中銀と欧州6中銀は共同歩調でドル資金の供給を拡充」とのコメント。静かな安息日の日曜の午後にわざわざ動かなくても良かったのに、という気がする。
 
日経平均株価は429円安の17002円と大幅に4日続落。300円近く上昇した場面もあったがその後516円安の16914円まで売られた場面もあった。日中値幅は871円で大荒れの一日。TOIXも続落。「日銀は12兆円を上限に残高増加ペースを引き上げるとした。ただ原則的な買い入れペースは引き続き年間6兆円ペース」。
東証1部の売買代金は3兆3191億円。東証1部の値上がり1019銘柄。値下がり1098銘柄。新安値173銘柄。OLC、JXTGが上昇。SBG、ソニーが下落。
 
17日(火):
週明けのNY株式は大幅反落。NYダウは2997ドル安の20188ドル。下落幅は一時3069ドルに達した。下落幅は過去最大。下落率は1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%安)以来32年5か月ぶりの大きさだった。
トランプ大統領が「新型コロナ感染の最悪期が8月まで延びる可能性がある」とコメント。景気についても「おそらく後退に向かっている」と指摘。
これを受け景気悪化が年後半も続くとの見方が強まり相場は一段安となったとの解釈。
9日、12日に続いて今月3回目となるサーキットブレーカー発動で大荒れの展開。VIX指数は82.69。208年10月24日のリーマンショックの時の89.53(ザラ場)に迫った。
 
日経平均株価は9円高の17011円と5日ぶりの反発。600円以上の下落と500円以上の上昇があり日中値幅は1179円と荒れた展開。東証一部の売買代金は4兆3713億円。値上がり1874銘柄、値下がり273銘柄トヨタ、鉄が上昇。ファーストリテイリング、コマツが下落。
 
18日(水):
NY株式市場は反発。NYダウは5%超、NASDAQとS&P500は約6%上昇。前日のブラックマンデー以来の大幅安の翌日は3分の1から半値戻しといったところ。FRBはリーマンショック時に導入したコマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)を再び導入すると発表。これが好感された。
トランプ米大統領は総額1兆ドル規模の景気刺激策を打ち出した。国民に小切手を支給する方向で最大1000ドルになる可能性があるという。2月の小売売上高は前月比0.5%減と市場予想の0.2%増に反して減少。
 
日経平均株価は284円安の16726円と反落。終値ベースの昨年来安値を更新した。シカゴのダウ先物のサーキットブレーカー発動を警戒して後場マイナス転換。
東証一部の売買代金は4兆1106億円。値上がり835銘柄、値下がり1298銘柄。花王、フィルムが上昇。日揮、スクリーンが下落
 
19日 (木):
NY株式市場は4回目のサーキットブレーカーを交え大幅反落。NYダウは1338ドル安の19898ドルと2万ドル割れ。2017年のトランプ大統領就任以降の上昇分を全て失った。NYダウが前日比1000ドル以上動いたのは8日連続。
ホテルや空港では利用客が急減し航空会社は損失抑制に向け従業員に無給休暇の取得を要請。新型コロナウイルスに対する警戒感は高まった。原油先物が6.58ドル(24.4%)安の1バレル=20.37ドル。過去10日間で半値以下となり18年ぶりの安値水準。世界各国での移動制限拡大、学校や店舗の閉鎖、集会禁止などが要因だ。
 
日経平均株価は173円安の16552円と続落。昨年来る高値を連日で更新した。時間外取引で米株価指数先物が下落幅を拡大。午後1時に368円安の16358円と安値を付けた。
その後はやや下落幅を縮小したが3連休控えでの模様眺めムード。韓国をはじめとしたアジア株の下落も悪材料視された。2016年11月9日(16251円)以来3年4カ月ぶりの安値水準。JPX400とTOPIXは3日続伸。
東証1部の売買代金は4兆6853億円。値上がり1141銘柄、値下がり1001銘柄。KDDI、ドコモが上昇。SBG、ZHDが下落。
 
(2) 欧米動向
 
ムニューシン米財務長官は新型コロナウイルス対策で行動しなければ米失業率は20%に達する恐れもあると発言。ペンス副大統領の首席補佐官は「現時点で失業率が20%に悪化するとは誰も想定していない」とコメントした。火消しに追われたという解釈だ。
ただ国際労働機関(ILO)は警告。
「各国政府が迅速に雇用保全に向けた対応を行わなかった場合、世界的に最大で2500万人近い雇用が失われる恐れがある」。
 
一方で「 国際的な協調策が導入されれば、世界的な雇用に対する影響は大幅に緩和される」と指摘している。
ジョンソン英首相は「この困難な時期においてあらゆる労働者が支援を受けられるよう追加の措置を提案する」とコメント。
最低所得保障の一時導入も検討事項の1つとした。そしてドイツのメルケル首相。
「新型コロナウイルスへの対策として人混みを避けるなど予防規則を守ることが重要だ。
東西統一はもちろん、第二次大戦以降で最大の困難に直面しており、結束した対応が非常に重要になる」とコメント。国民に対し「戦時体制の結束」を呼び掛けた。
 
 
(3)アジア・新興国動向
 
木曜に韓国ウォンは午前中に対ドルで3%以上急落。
企画財政省と韓国銀行(中央銀行)は共同声明を発表。
「韓国の(堅調な)ファンダメンタルズを踏まえれば、(為替市場での)群衆行動は行き過ぎている」。
通貨が売られればその国の経済は危機的状況になるというのが古典的原則だ。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【3月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年8勝7敗(8位)
    気学では「押し目買い。安値を買い拾うこと。飲食関係に妙味」
 
20日(金):春分の日で休場、米中古住宅販売
22日(日):埼玉県知事選挙投開票
23日(月):米シカゴ連銀全米活動指数
24日(火):全国百貨店売上高、米新築住宅販売、ASEAN財務相・中央銀行総裁会議(ベトナム)、株高の特異日
25日(水):米耐久財受注、独IFO景況感、株高の日
26日(木):企業向けサービス価格指数、米GDP確報値、EU首脳会議、上げの日、変化日、東京五輪聖火福島スタート、株高の日
27日(金):3月権利付き最終日、米個人所得
29日(日):羽田空港国際線発着枠拡大、欧州夏時間開始
30日(月):米中古住宅販売
31日(火):鉱工業生産、失業率、プレミア商品券の使用期限、米CB消費者信頼感、中国製造業PMI、株安の日
 
 
SBI証券と楽天証券は「投資信託の月間の積立額が増加している」と発表した。
楽天は1年間で2倍、SBIは3カ月で3割増。この数カ月の伸びが大きくなっているという。「株式相場の下落が新たに積み立て投資を始める好機と考える個人投資家が多い」という解釈だ。
楽天証券は3月15日時点の積立額が165億円。19年3月末比で倍増。数字は独自の投信積み立てサービスと積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)の月額換算だ。
SBI証券は積立額が200億円と19年11月末比50億円増。「新しく投資を始める若年層や初心者層が動いているため」との見方。楽天証券の総合口座数は400万超。2月の月間新規口座開設数は初めて10万を超えペースが加速しているという。
SBI証券も2月下旬に500万口座を超えた。「若年層は投資金額が小さいため、目先の収益全体への貢献は大きくない。しかし中長期的には競争力の差となって表れそうだ」との声。
戦場の鉄火場で切った張ったの瞬間闘争の相場に新人類が登場したという恰好だろうか。
それにしても昨年の「老後2000万円問題」は大きな影響を残してくれたことになる。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
 
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