英明コラム 5月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 5月 第2週

9日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って続落。原油価格が再び上昇しインフレ懸念が継続。「FRBがインフレ抑制に一段と積極的な利上げを行わざるを得なくなる」との懸念が拡大。パウエルFRB議長が否定した次回FOMCでの0.75%利上げを警戒。「議長を嘘つきにしたい」という印象だ。雇用統計などほぼ関係なく市場は恐怖心を煽られている格好。それでも「焦点は来週の消費者物価指数(CPI)にシフト」との声。茶番チックな解釈で笑える。週間ベースでNYダウは0.2%安、6週続落(累計5,6%下落)。NASDAQ総合指数は1.5%安、5週続落(同14.8%下落)。S&P500は0.2%安(同9.3%下落)。
 
日経平均株価は684円安の26319円と大幅反落。ほぼ安値圏で引けた格好。中国関連銘柄のさげもきつかった。一方、資源関連セクターは上昇。東証プライム市場の売買代金は2兆9545億円。ヤマダ、川船が上昇。ファーストリテ、コマツが下落。ドル建て日経平均は200.82(前日205.98)。年初来安値を更新。
 
10日(火):週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って3日続落。主要3株価指数はいずれも年初来安値を更新。S&P500が終値で4000ポイントを割れたのは2021年3月以来。インフレやFRBによる積極的な金融引き締めを警戒した売りが継続。長期金利が一時3.2%台と2018年11月以来の水準に上昇したのも悪材料。中国の4月の貿易統計で輸出の伸びが大幅に鈍化したこともアゲインスト。「最近の株価急落で追い証を迫られた投資家の投げ売りが出た。売りが売りを呼ぶ展開」との声も聞こえる。日経平均株価は152円安の26167円と続落。3月16日以来2ヶ月ぶりの安値水準に沈んだ。下落幅は一時540円を超え26000円を割れ込んだ場面があった。東証プライムの売買代金は3兆2345億円。ダイキン、クボタが上昇。東エレ、トヨタが下落。
 
11日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウは4日続落。値幅は865ドルと値動き荒く上下に変動。NASDAQとS&P500は4日ぶりに反発。アップルやファイザーが上昇。10年債利回りは3%を割り込んだ。背景はCPIや12日の卸売物価指数(PPI)発表を控えての警戒感との解釈。
 
日経平均株価は461円高の26213円と反発。ただ膠着感の強い展開。トヨタの決算が今期減益見通しで着地。悪材料視点された。TOPIXX33日続落。東証プライムの売買代金は3兆2045億円。ソニー、東エレが上昇。村田、塩野義が下落。
 
12日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は下落。NYダウは5日続落。NASDAQは3%超の下落。4月のCPI(季節調整済み)は前年同月比8.3%上昇。エネルギー価格の高騰が一服したことで3月の8.5%からは減速。減速は昨年8月以来。ただ市場予想の8.1%は上回った。利上げや景気に対する懸念は払拭されず警戒感拡大。S&Pグロース指数は2.8%安、バリュー指数は0.5%安。次の焦点は今夜の卸売物価指数(PPI)に移行した。
 
日経平均株価は464円安の25748円と反落。TOPIXは4日続落。東証プライム市場の売買代金は3兆3683億円。レノバ、重工が上昇。トヨタ、SBGpが下落。
 
13日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は荒い値動き。主要株価3指数はいずれもマイナス圏とプラス圏と行き来する展開。S&P500とNYダウは小幅続落。S&Pは一時1月3日最高値からの調整入り確認寸前まで下落した。NASDAQは小幅反発。「上下方向に2%も乱高下するは極めてまれ。短時間にこれほどのボラティリティーが見られるのは投資家心理の脆弱性を示している」との見方。大型株が売り込まれアップルとマイクロソフトが軟調。4月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年同月比11.0%上昇。エネルギー高が緩和したことで上昇率は3月の11.5%から減速。ただ市場予想の10.7%は上回った。SKEW指数は124.51→119.91。恐怖と欲望指数は8→6。一時2まで低下した場面があった。SKEWとFEAR&GREEDは底打ち感の漂う水準だ。
 
日経平均株価は678円高の26427円と反発。「前日までに1200円超下げていたため短期筋のショートカバー(売り方の買い戻し)が活発」との解釈。TOPIXは5日ぶりに反発。東証プライムの売買代金は3兆5923億円。SBG、東エレが上昇。NTTデータ、ダイキンが下落。SQ値25951円に対しては1勝。週足は5週連続陽線。
 
(2) 欧米動向
 
4月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比42万8000人増加。
市場予想(39万1000人増)は上回った。
雇用増が40万人を超えたのは12カ月連続。
製造業のほか、レジャー・接客で雇用が増加した。
4月の失業率は3.6%と、前月から横ばいだった。
時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。
伸びは前月の0.5%から鈍化。
前年同月比では5.5%上昇。
前月比で5.6%伸びた。
労働参加率は62.2%。
2年ぶりの高水準だった前月の62.4%から低下した。
 
(3)新興国動向
 
上海のロックダウンなど各地で規制措置が長期化。
これが中国経済を脅かす一番のリスクとなってきた。
今年に入り、中国株の値動きは西側の経済制裁を受けているロシアを除くと世界で最も低調。実体経済も3月に入って急減速し、消費や不動産、輸出が痛手を被った。
「中国のGDPの40%を占める45の都市が現在全面的か部分的なロックダウンを実施。
景気後退に突入するリスクが高まっている」という見方もある。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【5月】6勝4敗、(勝率60%、4位)
    気学では「押し目買いの月。中旬に高値をつけると後半下押し。乱調を見せる」。
 
5月16日(月)企業物価指数、NY連銀製造協景況感、中国各種経済統計、株安の日
5月17日(火)米小売り売上高、鉱工業生産、上げの特異日(下げ止まりの日)
5月18日(水)1−3月期GDP、米住宅着工、G7財務相・中央銀行総裁会議(ドイツ)
5月19日(木)貿易統計、機械受注、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、中古住宅販売
5月20日(金)消費者物価、
5月21日(日)オーストラリア総選挙
5月22日(日)世界経済フォーラム(ダヴォス会議)
5月23日(月)首都圏マンション販売、独Ifo景況感、IT見本市「台北国際電脳展」
5月24日(火)米新築住宅販売
5月25日(水)米耐久財受注
5月26日(木)企業向けサービス価格指数、米GDP改定値、中古住宅販売契約、株高の日、変化日
5月27日(金)米個人所得、ミシガン大学消費者信頼感
5月30日(月)メモリアルデーでNY休場、バンクホリデーでロンドン休場
5月31日(火)失業率・有効求人倍率、商業動態統計、鉱工業生産、消費者態度指数、米CB消費者信頼感、CS住宅価格、FHFA住宅価格、株高の日L、変化日。MSCI日本株指数パッシブ売買インパクト
 
 
4月月間海外投資家動向。
現物1兆1615億円の買い越し。
前月は1兆2664億円の売り越しだった。
先物は1917億円の売り越し。
現物の買い越しは昨年10月の6937億円以来6カ月ぶり。
日経平均は3月上昇、4月下落。
相場の主役は本当に海外投資家なのだろうか?という疑問も生じてくる。
確かに売買比率は72%。
だが保有比率は30.2%だ。
円安に向かうというシナリオで海外投資家が日本株を買うのだろうかも疑問。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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